市役所1階ロビーの改装・続報
前回記事を書いた福岡市役所1階ロビー改装について新しい発表がありました。
ロビー内に開設するカフェ事業者の募集が2月8日から行われているそうです。
前回の発表では11月下旬に募集を始めるとのことでしたが、遅れているようですね。

福岡市 市長会見平成24年2月7日市役所1階ロビーの改装について
天神経済新聞|福岡市、市役所1階にカフェ-事業者を公募、オープンは4月下旬

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(俯瞰)
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(内観)

福岡市内に本社がある飲食業者と社会福祉法人の連名での応募が必要で、障害者の雇用にもつなげる考え。契約は3年で、再度事業者を公募する。応募締め切りは3月9日。3月16日ごろ運営事業者を決定し、4月下旬のオープンを予定する。(天神経済新聞より引用)


新しいロビーの空間は?
俯瞰と内観のパースは、設計者に決まった環境デザイン機構によるものでしょうか。
おそらく、俯瞰写真の上が天神中央公園・アクロス側で、下が広場側だと思われます。
天井高の低さからくる圧迫感を平面計画で解決しようとしています。
ロビーの四隅を情報発信のスペースに、中央・入り口付近をオープンスペース(くつろぎスペース)に、というところでしょうか。
今までなかった、地下との吹き抜け空間もありますね。
市役所の地下はロビーを上回る閉塞的な空間なので、うまく2フロアが開放的になるといいですね。
イメージ写真なのでどこまで実施に採用され、再現されるか分かりませんが、現在よりも開放的な市役所になりそうです。

情報発信の場としては?
四隅に設置された情報発信スペースには、情報プラザ、サイネージ、展示空間、証明サービスコーナーなどが入るそうです。
平面計画の意図は「なにげなくふらっと発見、流れるような情報体験」というところでしょうか。
福岡市からの設計依頼がどの程度であったかは分かりませんが、情報体験の場のデザインとしては弱いような気がします。
前回の記事でも書いた通り、現状のロビーや情報プラザは、チラシをテーマ別に置くくらいで発信の場として心許なく、受信の場としては何も楽しくない場です。
「福岡のまちを感じる」「福岡がここで生まれている」といったライブ感を味わうことができません。
新しいロビー案では、感じることが出来るでしょうか。プログラムの問題でもありますが、積極的に来訪者に福岡のライブ感を働きかける、ドキドキするデザインには見えません。

さらにいえば、情報プラザで配布されているチラシ達は必ずしもデザインされたものではなく、それが流線的な書架(俯瞰写真左上)に並べられ、ロビーのどこからでも見える風景というのは、パースのように美しくならないと予想されます。
情報発信スペースの設えや管理者の采配次第でもあるので、今後の工夫に期待したいと思います。


市役所だけにカフェ事業者の任期が3年というのも気がかりですが、
今後も市役所ロビー改装に注目していこうと思います。
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# by tottoko_yk | 2012-02-10 18:05 | 紹介
福岡市役所ロビー改装について:日本・世界の都市情報センター事例
福岡市は、市役所1階ロビーを市民が集う場、情報発信を促進する場として改修することを今夏に発表しました。
読売新聞 福岡市役所にカフェ、来春にもロビーに開設

イベントがない時の市役所横・西側広場は閑散としていて、市役所1階ロビーも暗く、憩える雰囲気ではありません。市役所で用事を済ませた人が少し休憩している程度です。
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(写真:市役所1階ロビーと情報プラザ)
ロビー内に情報プラザというチラシなどが置かれているスペースがありますが、人口150万人の都市の情報発信拠点としては些か心許ない現状です。

福岡市役所は福岡市の中心・天神に位置する好立地で、さらにいうと、東にアクロス福岡と天神中央公園、西に広場、きらめき通りと、建て込んでいる天神の中では抜けがある場所に位置しています。
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(写真:情報プラザから出て広場を向いたところ。西鉄天神駅のブリッジが見える。)

 この面白い場所と反比例のもったいない現状、特にロビーを変えるというのは非常に良い試みだと思い、続報を楽しみにしていました。
しかし、私が目を離していた間に、イメージ図の公開と設計事業者の公募が行われ、昨日、株式会社フジヤと環境デザイン機構に決まったようです。

・市長会見(動画)(テキスト)
市役所1階ロビーと西側広場の整備計画について(pdf)
福岡市本庁舎1階ロビー改装工事設計業務プロポーザルの最も適した設計者の特定について
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(イメージ図 via

 事業者が決まって、これから実施設計が始まるという時点ではありますが、イメージ図があまりに陳腐で、情報を提供し賑わいを作っていく姿勢がみられないことに不安を感じます。
前述の通り、市役所庁舎はもったいない状況にあり、また、福岡市はシティプロモーション事業を行うなど、広報力の強化を進めています。
市役所ロビー改装は、まさにその広報力を発揮する都市情報の発信拠点、そして市民と行政の交流拠点を計画するものであり、非常に重要なプロジェクトといえます。

 この「都市情報の発信拠点」というものに、いかに可能性があるか、デザインが必要か、私の研究対象でもある書籍「シビックプライド」にヒントがあるように思います。「シビックプライド」は、都市と市民の接点“コミュニケーション・ポイント”の一つとして「都市情報センター」を挙げており、次のように説明しています。

都市の過去・未来・現在の情報を共有し、理解を促し、体験を提供する。多様なメディアによる展示と、集まりの場として対話、情報交換ができるようなプログラムをもつ。人目につきやすい立地、憩いの場の提供など、幅広い層の人々を呼びこむ実空間であることが重要。

福岡市のイメージ図には、立地・憩いの場の提供は描かれていますが、人々を呼びこみ集める「空間」性や都市への理解を促し体験を提供する「運営」の姿勢が欠けています。
(「人目につきやすい立地」についても、ただロビー内部の設えを変えただけでは、暗い雰囲気は変えられないので、きらめき通り〜広場〜ロビー〜公園と公共空間が抜けるような設計が必要でしょう。これは設計事業者に期待したいところです。)
この不完全といわざるをえない市の提案に対し、「こんな場所だったら情報発信・交流拠点といえるのでは?」と思える事例を、勝手に紹介してみたいと思います。


日本・世界の優れた都市情報センター

都市情報の発信を目的とした事例
・URBIS/マンチェスター
シビックプライド掲載。「都市生活のミュージアム」というコンセプトで、ワークショップスペース、地元テレビ局のスタジオ、カフェなどが入っている。
・ハーフェンシティのインフォセンター/ハンブルク
「シビックプライド」掲載。ハーフェンシティの再開発の情報を提供する拠点。巨大都市模型で再開発の全貌を理解できる他、工事現場に展望台を設置しており、市民は「いま街が作られている」というライブな体験を共有する。

まちづくりやコミュニティ形成を目的とした事例
BMWグッゲンハイムラボ/ニューヨーク、ベルリン、ムンバイなど
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via
世界各国を巡る移動式の都市研究所。オープンかつカジュアルに街のこれからを知って語れて体験できる。特に都市のシュミレーションを体験できるゲームが秀逸。ゲームエンドの”Your city may be the future of all city”というメッセージはシビックプライドを感じさせる言葉。日本人建築家アトリエ・ワンが設計。
実際に参加された方のレポートはこちら
バンク十和田/十和田市
十和田の商店街に新たな活力を生むコミュニティーセンター。
バンク十和田は、十和田の魅力を自分たちで探しだし、(中略)日本全国と海外の人たちに「十和田を届けたい」という気持ちから生まれました。”(HPより引用)
武蔵野プレイス/武蔵野市
日本各地で形骸化しているコミュニティセンターだが、武蔵野プレイスはそれを超えることを意識している。”図書や活動を通して、人とひとが出会い、それぞれが持っている情報(知識や経験)を共有・交換しながら、知的な創造や交流を生み出し、地域社会(まち)の活性化を深められるような活動支援型の公共施設をめざしています
柏の葉UDCK/柏市
柏の葉のまちづくりを公民学が連携し、市民と共に考えるアーバンデザインセンター。大学が運営に関わることで、開発と学術的研究と生活が同時並行する実験都市。最近は都市情報センターについても研究している。

創造都市の文脈で…
BankART NYK/横浜市
歴史的建造物をリノベーションした、創造都市・横浜の拠点。展示室、ワークショップスペース、バーなどが入っている。
KIITO - KOBE DESIGN HUB/神戸市
「デザイン都市・神戸」という都市戦略のシンボルとして神戸をセールスする拠点。

観光客など市外の人をターゲットとした事例
・ココナラカフェ/奈良市
代官山にある奈良県のアンテナショップ・カフェ。一般的に行政の東京事務所は永田町などにあるが、若者に奈良をPRするために代官山に開業した。
the city of london information centre/ロンドン
ロンドンの観光案内所であり、ロンドンの玄関口。シンボリックな建築が旅のワクワク感を加速する。

飲食店が都市に賑わいを生んでいる事例
ACE HOTEL/シアトル、ポートランド、ニューヨーク
来訪者だけでなく、住民も思い思いに過ごし、そこから文化が生まれるホテル。これはもう、ただただかっこいい。
DINNER/ニューヨーク・ブルックリン
週5日行きたくなる街のレストラン。
A-FACTORY/青森市
シードル工房と市場の複合施設。観光資源の発掘や新たな事業機会の創出など、青森エリアの活性化が目的。運営主体はJR東日本。

広場と情報発信拠点が一体となった事例
フェデレーション・スクエア/メルボルン
市民が喚起する場としてのエンターテイメント広場。美術館などの文化施設に囲まれた広場で、毎日イベントが企画・運営されている。サッカーのパブリック・ビューイングでは1万人以上が集まる。
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via

拠点設置以外の都市情報のデザイン事例として
ブリストル・レジブル・シティ/ブリストル
「シビックプライド」掲載。都市のフォント、マップ、サインから交通システムまで、都市の体験をトータルにデザインする一大プロジェクト。コーディネートをしているのは行政出身のマイク・ローリンソン氏が代表を務めるCity IDという都市コンサル会社。


以上、駆け足気味でしたが、先行事例の紹介でした。
挙げた事例は、全てが情報発信やまちづくりを目的とした施設ではなく、また運営主体も官民様々です。しかし、都市情報、平たくいえば「まちの中身」をきちんと市民(×住民)に伝えようとし、伝わるにはどうしたらいいかを考え、独自の試みを行っています。
また、どうすれば人々が集う空間になるか、憩える空間になるか、文化や出会いが生まれる交流と創造の場になるかを考え、総合的にデザインされています。ここでいうデザインとは単なる設計ではなく、運営の意味も込めたデザインです。
 市税を投じて、一等地にあるロビーを活かそうと改装するならば、それだけの情報発信能力、デザイン、空間、仕組みを計画してほしいものです。

 カフェの事業者公募は今月中に行われるようですが、飲食は唯一福岡で自慢できる観光資源なのだから、間違ってもチェーン店なんて入れないでほしい。行政の公募なので厳しいと思いますが、地場の魅力的なカフェ資源を活かしたカフェの選定ができないものでしょうか。
日本では哀しいかな、設計事業者は”最初”にしか関われないので、カフェ事業者が交流の場の運営を担っていくような、情報発信と賑わいづくりが一体となった仕組みづくりとなると、市役所ロビーは「福岡のロビー」になれるのではないでしょうか。
いや、むしろ、私がカフェの店員になりたい。

今後もこのプロジェクトに注目していきたいと思います。
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# by tottoko_yk | 2011-11-10 22:03 | 紹介


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